金融庁職員の行動に関するガイドライン
I .利害関係者以外の者等との間における禁止行為
利害関係者に該当しない事業者等であっても、その者から供応接待を繰り返し受ける等社会通念上相当と認められる程度を超えた供応接待又は財産上の利益の供与を受けてはならない。
- 利益供与の原因・理由に相当性があるか
- 対象者の範囲(国家公務員のみか)
- 利益供与の額(高額過ぎないか)
- 利益供与の頻度(繰り返し受けるものか)
- 相手との関係性(利害関係者に近い存在か)
等の観点を総合的に勘案して社会通念上相当と認められる程度を超えるものと判断される場合、本禁止行為に当たる。
いかなる者との間であっても、いわゆる「つけ回し」は行ってはならない。
II.その他の禁止行為等
(特定の書籍等の監修等に対する報酬の受領の禁止)
職員は、次に掲げる書籍等(書籍、雑誌等の印刷物又は電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式により文字、図形、音、映像若しくはプログラムを記録した物をいう。以下同じ。)の監修又は編さんに対する報酬を受けてはならない。
一.補助金等又は国が直接支出する費用をもって作成される書籍等
二.作成数の過半数を金融庁において買い入れる書籍等
(職員の職務に係る倫理の保持を阻害する行為等の禁止)
職員は、金融庁の他の職員の前記I又は前記IIの1に違反する行為によって当該他の職員が得た財産上の利益であることを知りながら、当該利益の全部若しくは一部を受け取り、又は享受してはならない。
(2) 職員は、国家公務員倫理審査会、任命権者、倫理監督官その他金融庁において職員の職務に係る倫理の保持に責務を有する者又は上司に対して、自己若しくは金融庁の他の職員の法若しくは法に基づく命令(訓令及び規則を含む。以下同じ。)に違反する行為を行った疑いがあると思料するに足りる事実について、虚偽の申述を行い、又はこれを隠ぺいしてはならない。
(3) 指定職以上の職員並びに一般職の職員の給与に関する法律第10条の2第1項の規定による俸給の特別調整額を支給される職員及びその職務と責任がこれに相当する職員として倫理監督官が定めるものは、その管理し、又は監督する職員の法又は法に基づく命令に違反する行為を行った疑いがあると思料するに足りる事実があるときは、これを黙認してはならない。
III .飲食をする場合の届出
(倫理監督官への届出)
- 利害関係者との間で飲食を行おうとする場合において、倫理規程第8条に基づき倫理監督官に届出を行う場合には、別紙様式(1)により届出を行うものとする。
- 自ら行う行為の相手方が利害関係者に該当するかどうかを判断することができない場合又は利害関係者との間で行う行為が倫理規程第3条第1項各号に掲げる行為に該当するかどうかを判断することができない場合には、倫理規程第10条の規定に基づき別紙様式(2)により倫理監督官に相談を行うものとする。
IV .講演等及び出版物への寄稿に伴う報酬の取扱い
講演、討論、講習・研修における指導・知識の教授、又はラジオ・テレビの番組への出演(国家公務員法第104条の許可を得てするものを除く。以下「講演等」という。) 及び出版物への寄稿に伴う報酬の取扱いについては、次のとおりとする。
講演等についての取扱い
(1) 公務として行うものは、勤務時間内外を問わず、如何なる場合でも報酬の受領は不可。
(2) 公務外(勤務時間外及び勤務時間内の年次休暇)として行うものについては、
イ.利害関係者に対して講演を行う場合は、報酬の受領は不可。
ロ.利害関係者以外の者に対して講演を行う場合で、
a.年次休暇を取得して、所管行政に関連する講演を行う場合は、報酬の受領は不可。
b.勤務時間外に行う場合は、所管行政に関連する内容以外の講演を行う場合は、報酬の受領は可能。
出版物への寄稿についての取扱い
(1) 公務として行うものは、勤務時間内外を問わず、如何なる場合でも報酬の受領は不可。
(2) 公務外(勤務時間外)として行うものについては、
イ.利害関係者に対して寄稿を行う場合は、報酬の受領は不可。
ロ.利害関係者以外の者に対して寄稿を行う場合は、勤務時間外に、個人的に行うものであり、かつ、所管行政以外に関する寄稿内容の場合は、報酬の受領は可能。
- (注)
- 公務外のものを勤務時間内に執筆することは認められない。
職員は、公務外として行う場合において、利害関係者以外の者に対して講演等或は寄稿を行う場合で前記1(1)及び2(2)の報酬を受領しようとする場合は、長官の承認を得なければならない。
(2) 職員((3)に掲げる者を除く。)は、前記の承認を受ける場合は、総務課長等に対して、別紙様式1により申請を行うものとする。
(3) 前記の承認を受ける場合において、指定職俸給表の適用を受ける職員及び審判官にあっては長官に対して、総務課長等にあっては総合政策局長に対して、別紙様式1により申請を行うものとする。
職員は、前記の報酬の受領が事業者等からである場合においては、報酬の額が5千円を超える場合には、国家公務員倫理法(以下「倫理法」という。)の規定による贈与等報告の対象になり、また、2万円を超える場合には、閲覧の対象にもなるので、遺漏のないよう留意する必要がある。
職員は、前記の報酬を受領する場合においては、税務上の処理を適切に行うとともに、恒常的、継続的に行うことは、国家公務員法第104条に規定する兼業禁止規定に抵触することに留意する必要がある。
V .違反に対する処分等
- 長官は、職員が倫理法又は倫理規程に違反した場合には、人事院規則等に基づき懲戒処分等の人事管理上必要な処分等を厳正に講ずる。
- 前記のほか、長官は、職員が本ガイドラインに定める事項を守らなかった場合には、その程度に応じ、矯正措置等の人事管理上必要な措置等を厳正に講ずる。
VI.その他
(異動があった場合の利害関係者の取扱い)
- 倫理規程第2条第2項により、職員に異動があった場合において、異動前の官職に係る当該職員の利害関係者であった者が、異動後引き続き当該官職に係る他の職員の利害関係者であるときは、当該他の職員の利害関係者は、当該異動の日から3年間(当該期間に当該他の職員の利害関係者でなくなったときは、その日までの間)は、当該職員の利害関係者とみなすこととされているので留意する必要がある。
(株式取引等の自粛)
民間金融機関等に対する検査・監督及び証券取引等の監視を任務とする金融庁職員として公正な職務の遂行に疑念を抱かれることのないようにしなければならないことは言うまでもなく、職員は、自己又は他人の名義により、職務上知ることができた秘密を利用した金融取引等を厳に行ってはならない。
とりわけ、株式取引等については、その職務との関係から国民の疑惑や不信を招くことのないよう「金融庁職員の株式取引に係る綱紀の保持について」(平成13年1月6日付総第16号)により、いわゆるインサイダー取引規制に抵触することのないよう周知するとともに、職員は自己又は他人の名義により金融庁が所管する法人の株式等の売買その他の有償の譲渡若しくは譲受け、株式等の信用取引、短期売買、株式等関連のデリバティブ取引、カバードワラントの売買及び私募ファンドの売買等の対応を求めているので、留意する必要がある。
(本ガイドラインの適用)
- 本ガイドラインは、令和7年6月30日から適用する。


